くらげーむ

やったゲームの話をします

【黄昏ニ眠ル街】絵の中の街を探索する空想の具現化

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ジャンル ADV
プレイ環境 PS4
知ったきっかけ RTで回ってきた企画時のPV
購入の流れ PV見た瞬間に絶対やる!になった。
けどPC用……で指をくわえていたところコンソール版発売!
即ポチ。

やったのはPS版だけどアイキャッチ出なくて寂しいのでswitch版のリンク。
ジャンルはアクションADVの方が正確なんだろうか。
でもモブ敵の相手しなくていいし探検・探検・探検!というゲームなので気持ち的にはまさにADVです。
ボリュームは多くはないけど本当にやれてよかった。こういうゲーム待ってた!

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初めて見たPVこれだったかな。もう見た瞬間に心掴まれました。
コンソール移植本当にありがとうございます。

絵の世界に入り込んだような


この世界観、グラフィックについての感想はもう言葉で語るより見て……!という感じになってしまう。

キービジュアルを見た時に頭の中に流れ込んできたイラストの世界が目の前に現れます。
自分も抱いているオリエンタルなイメージにそのまま合致する橋の欄干や窓枠飾り、軒先、船、灯籠!でもコテコテな感じではなく、全体的にふんわりと霞がかったような柔らかい色合いなのがとてもうれしい。どうにもゲームに出てくる東洋って「濃い」ものが多い気がします。FF14のドマ・クガネなんかもちょっと派手め。悪くはないのですが、もう少し静かな景色もほしい。
なのでこの街の景色は理想の風景でした。


明け方の光景。夜~朝にかけて街全体を覆う深い青色の闇がすごくいい。
ストーリーが進む前のちょっと怪しい霧に包まれた状態もいい。全部いい。
ストーリー進んでしまうと霧の街に戻せないのはちょっとネックですが昼夜は任意でスイッチ可能なの抜かりない。

グラフィック粗いという感想の人を見つけてめちゃくちゃびっくりしてしまったんですが、そう言われて見ると岩肌や階段なんかはごつごつざっくりしています。でも全然気にしてなかった。nocrasさんの描かれたイラストが立ち上がってきたと感じていたので、私はこれでいいと思います。人の手で描かれるイラストってスーパーリアルの物でない限り全面隅々まで細かいことはなくて、描き込まれるところとざっくり塗られるところとあるので。すさまじいポリゴン数を誇る大迫力美麗グラフィックで出されていたら何か絵の印象と違う……となっていたんじゃないかという気がします。


どこで撮っても見て!って言いたくなる画になる。
こーんな高い建物のてっぺんにひょいひょいひょいで登れてしまう。
路地が込み入ってて地上を行くと迷いまくるのですが、そこを強引に上へ抜けてしまって行きたい方角を探したりして。
アクションではありますが入力がシビアでなく、おおざっぱにジャンプしても結構なんとかなるのが気楽でよかったです。
ふわふわーっと夢のような飛び心地。主人公ユクモさんのお衣装も中華ファンタジーっぽくてふわふわかわいい。

しっかりフォトモードが用意されていて画角とか色々こだわれるのですが、何故か椅子に座った状態では起動できないのはすごく残念でした。フォトモードに入れないとUIが消えない……。

歩いて飛んでお祈りして

本作の特長の一つご自慢の飛行船について。
これももう見てもらった方が早いと思う。




こういうことができます。
大声になってしまう。屋根の上を歩くだけでなく上空からもしっかり堪能できます。

ただ正直に言うと飛行船の操作感はちょっと不便な感じです。きびきび動かない。
ベストポジションにもっていこうとしてめちゃくちゃ蛇行運転しました。
飛行船を使って軽いシューティングゲームをする場面が本編とオマケにちょっとずつあるのですが、あんまり思ったように動いてくれないし、シューティングの狙いもクセがあって上手くあたらないし、大味な感じ。
飛行船メインになる場面は景色も街中ほど良くはないので少し退屈です。
とはいえ全然頑張らなくてもストーリーはクリアになりますし、オマケシューティングはトロフィー要らないなら無視できます。ユクモさんの衣装を全部開放したいとなるとシューティングもやらないといけなかった気がしますが……でも最大数集めて買える衣装は初期衣装の色違い(金ピカと銀ピカ)なのでそんなに優先度高くないんじゃないかな。オマケ要素と報酬設定はよく配慮されていると感じました。

ところで本作は最近には珍しくオートセーブがありません。
でも困りませんでした。セーブの演出が最高だったので。

社にお祈り。完了までに3秒くらいかかるのがちょうど何かお祈りしてたくらいのリアルな体感で大好きでした。
パッと手を合わせて拝むユクモさんも可愛い。社見かけるたびに意味なくセーブしてました。

話が逸れますが、街の中にさらっと自販機とか室外機とかポストとかの現代的な造形が入っているのが好きです。(セーブのスクショに映りこんでいます)ファンタジックな異国情緒のある世界だけど現実と地続きにあるような。どこかの路地裏から道を間違えて入り込んだ先にこんな町があった、みたいな。そういう感覚があってよかったです。

ストーリーとアクション要素

本作はちょっとしたストーリーとちょっとしたアクション要素が入っています。

少女ユクモはご自慢の飛行船に乗り込み旅をする。
とある用事で訪れた東洋の街に到着した途端、飛行船が故障してしまう。
今にも墜落しそうな機体を操縦し、何とか陸地まで辿り着くものの、
降り立ったその地は霧で覆われ、眠りについたかのように静まり返っていた…

黄昏ニ眠ル街 | Orbital Express
公式紹介より引用。
飛行船を直す&街の霧を払うために必要と言われるのが「大地の源」で、これが街中に散っているので集めてみましょうというのがアクション要素。ストーリーの方は引用文の内容でほぼ全てでした。このあとは大地の源を必要な数集めるだけで、霧が晴れて飛行船も直ったから旅再開だ!という一文入ってENDです。
※街中にアーカイブ的な「この街に何が起こったのか」を記す断片テキストはあります。でもやっぱり雰囲気程度の情報量です。綿密な設定が欲しい人には多分物足りない。街の香りに色をつける、くらいの内容。

私は街の探索だけで120%くらいゲーム堪能したのであっさりストーリーにも不満はないです。
ただもし欲を言うならばもう少しだけお話ほしかったかなという気はします!
ネズさんたちもいつまで待ち続けるのかなあと思っちゃうし、クリア後話しかけたら「ご主人から手紙が届いたんですよ」くらいのこと言ってくれたりしたら「そっかー! 戻ってこれそうなんだね頑張った甲斐があった」くらい思えたんですが。「いずれは帰ってくるでしょう……」みたいな反応だったんでちょっと寂しいなあ~と思いました。

アクション要素はストーリーに関わるミニアスレチックダンジョン(スキップ可)と、街中に散らばる大地の源集めの二つ。
気に入ったゲームは色々レビューも読んでしまうのですが、このゲームをアクションゲームとして見た方にはこの「大地の源集め」があまり面白くなく低評価だった模様。なるほどなあ、と思いつつもこのゲームはアクションゲームではなくアクション・アドベンチャーなんですよね。どちらかというとADV部分に重きを置いているゲームだと思います。
※ADVとは「プレイヤーの入力に対するゲームの変化(レスポンス)を通じてプレイヤー自身に何かを体験させる/何らかの感情を抱かせることを主眼とするゲーム」のことだと私は解釈しています。アクションゲームは「提示された課題・障害をクリアすることが主眼のゲーム」だと思うので、本作はADVと認識しています。

完成版も作品世界の雰囲気を楽しんでもらうというコンセプトは変わっていないのですが、途中からマップを探索してアイテムを集めることでどんどん別の場所に行けるようになるという、アクション・アドベンチャー的な要素を加えた形ですね。

www.famitsu.com
コンセプトは第一にこの世界の雰囲気を楽しむこと
操作方法こそおおむね一般的な3Dアクションのお作法に従っていますが、精密な操作で難度の高いアクションをこなして達成感を得るゲームではありません。アクションゲームを期待してプレイするといまいちになってしまうと思います。慣性のついたふんわりふわふわの飛び心地も、精密なアクションをきめたい人には悩みの種になりそうです。
※でもRTAやってる人も居るのでやろうと思ったらできるんじゃないかな。

あちこちでキラキラ光っている小銭に吸い寄せられながら路地をうろうろしつつ、ふと見上げたところにぼんやり光って浮いている大地の源があると嬉しくなって取りに向かう。届きそうで意外と届かなかったりして、回り道したりジャンプ台を見つけたりする。ようやく取れた、と思った時に辺りを見渡すと、今までとはまた違った角度から街が見える。
大地の源に誘導された先で新しい景色を堪能したり、大ジャンプで街に飛び込んでいく感覚を楽しんだりするのが一番美味しい楽しみ方なんだと思います。大地の源は街を隅々まで見せるために配置されているなと感じました。

さっきのインタビューにも

会社員時代からゲームのアートを手掛けるときに意識していたのが、「あの路地裏の先には何があるんだろう?」というような“冒険心をくすぐる”ものにするということでした。それで「この先が気になるから行ってみよう」と向かった先にはアイテムを配置するとか。気になる路地裏があるならそこにはゲームとしてもちゃんと意味があるようなデザインを心掛けています。

とあるので多分間違いない。行ってがっかり特に何もない、という場所がほとんどなかったです。
ただ綺麗なだけのスポットがあっても問題ない作品だと思いますが、隈なく探検することに対してちゃんとご褒美があります。
普段ストーリークリアしたらそれ以上やりこまないことの方が多いのですが、本作はおかげさまでトロコンまでやりきってしまいました。RPGの大きな街で特に意味もなくマップの隅から隅まで歩いてしまう人向けのゲームだと思います。(つまり私向け)

まとめ

子どもの頃、車移動で暇を持て余した時はいつも窓の外に見える建物の屋根伝いにふわふわ飛んでる空想をしてました。
なので3Dで動き回れるゲームは好きなところに歩いて行けるというだけで楽しいのですが、屋根の上にも登れて自由に移動できるものは更に大好きです。頭の中だけで描いていたことが本当にできちゃう、ゲームの世界なら。
そのせいなのか分かりませんが、何故か現実で絶景を見るよりゲームで絶景を見た時の方が感動する性質です。

このゲームは魅力的なイラストの中の世界を隅々まで自由に探索させてくれました。
あの路地裏に本当に入って行けちゃうのも、屋根から屋根へジャンプして飛んでいけちゃうのもゲームだけ!
キービジュアル見てピンとくる人ならプレイして損ないと思います。
DL版2000円しないよ!安すぎるな……。

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何故かSteamのアイキャッチが中国語版(言語日本語にしてても)