くらげーむ

やったゲームの話をします

【Blanc 白き旅】気軽に楽しめるアート絵本系探索ゲーム

blancthegame.com

ジャンル ADV
プレイ環境 Switch
知ったきっかけ プレスリリース
購入の流れ Switch配信開始のリリースを見つけたので購入

ビジュアル見ただけで「これは買い」と思ったクチだったので買いました。ペンと鉛筆だけで描かれた雪の世界を二匹の迷子が協力しながら家族の元へと帰る旅路のゲームです。プレイ時間は2時間ちょっと。欲しいなと思ったものは得られたしまあ満足というところですが、Steamレビューに上がっている不満点は分からないでもない感じ。スクショやトレーラーだけで「可愛い! もっと見たい!」と思う人にはおすすめできると思います。ちなみに動物が死ぬ描写はありません。安心、安全。

2人プレイ専用と誤って紹介されたりしていましたが、ソロプレイ可能です。というか、二人でやることにこそ大きな価値があるゲームかというとそうでもない感じがしますし、後述しますがむしろソロがいいのではと個人的には思います。

体験として語るところはあんまりなかったので今回はちょっとレビューっぽい感想文です。

鉛筆画の白銀世界と絵本的な動物キャラたち

グラフィックについては「息を呑む手描きアート」と、公式にPRされています。本当に紙に手描きした絵を3Dに起こす方式で背景を作っているそうで、独特の温かみがあるグラフィックだと思いました。澄んだピアノの音がこぼれてくるBGMと相まって、美しい雪景色の世界に居るという実感があります。私はすごく好き。

だけど「息を呑む」かと言われると、そうかな……? と言う感じ。見た瞬間に強い力で感動させるというよりは、しみじみ心に沁み込むというか、お気に入りの絵本を広げて眺めている時の気持ちというか、そういう系統のアートだと思います。スクリーンショットはたくさん掲載されているので、購入迷ってる人は全部眺めてみるといいかもしれません。それでフーンというくらいの興味度であれば、作中にそれ以上の圧倒的な光景は出てこないと思います。逆に「それそれそういうの大好き!」と思う人にはおすすめです。途中からカラーになっちゃったりはしません*1

キャラクターはめちゃめちゃ可愛いです。
特にオオカミちゃんの可愛さにやられました。オオカミって言ってますが、ほぼ仔犬です。

雪から顔を出すオオカミちゃん

足が短くてちょこちょこ歩き回るのが可愛い。雪に足跡がぽつぽつ残っていくのも可愛い。ちょっと距離のある対岸へジャンプしようとすると、着地時にバタバタバタッと足を動かして踏ん張ります。かわいい。お喋り好きなようでよくキャンキャン吠え、表情もシカちゃんより大きく変わります。終盤のシーンで「ハッ!」と気づく顔するところがあったのですが、気持ちが顔に出すぎてるのがあまりにも可愛くて声出して笑ってしまいました。

ストーリーはシンプル王道、ベタともいえる感じ。でも二匹が本当に可愛らしいのでよし。ベタだけどそれ見たかったやつ! と思いました。広大な雪景色は寂寥感があるけれど、二匹いっしょなので孤独じゃない。最初から最後まで微笑ましい雰囲気だったのが良かったです。

道が開けてワーイワーイってするとこ可愛い

触り心地はさくっとプレイできるギミック系探索ゲーム

「シンプルなゲーム性」とこれもまた公式サイトに書いてあったのですが、実際シンプルでした。協力とは言っていますが、オオカミとシカでやれることが違うので、それぞれが対応したギミックを解く(あるいは同時に解く)というだけです。複雑な連携を求められるわけではありません。なのでソロでも問題なくプレイできました。ちょっとした閃きを求められるギミック解除探索ゲーという感じです。なのでむしろ二人でプレイしたら物足りなくなるんじゃないか、ボリュームも少ないし……と思いました。Switch版は分かりませんが、Steam版だとオンライン協力プレイはラグやバグが結構出ているようです。

ギミック難易度も低い方だと思います。詰まってもしばらく考えれば分かる感じでした。ただ自分は8章で完全に詰まってバグなのか見落としなのか判断つかず悩んだ末に人の動画を探して解決してしまいましたが……。最後まで一貫して「先に進むための方法を探す」という課題なので、出題パターンも多くはないです。私自身は二匹が頑張って先に行こうとする姿を応援する気持ちで見ていたので特に退屈は感じませんでしたが、謎解き遊びに大きく期待をかけてしまうとやっぱり物足りないかもしれません。逆に言うとさくっと出来るので、あんまり重たいゲームをやりたい気分じゃない時にはちょうど良いです。

ギミックを解くに当たって、カメラを自由に動かせないのが結構ネックになります。キャラクターの動きに合わせて勝手にカメラワークが変わるのですが、あんまり気が利いた感じには動いてくれません。解法が分からず試行錯誤している間はこれがちょっとストレスでした。もんにょり動くのがたまに気持ち悪いと感じたので、酔いやすい人は注意した方がいいかもしれません。

カモ親子ステージかわいかったけどカメラは大暴れでした

ナラティブ型ゲームではないと思う

パッと見の雰囲気といい、感動的な旅とか書かれている紹介文といい、風ノ旅ビト系のナラティブ型なのかなという印象を持ちます。「白き旅」っていう邦題サブタイトルもそう。このタイトルあんまり本編の雰囲気に合ってないような気がします。白き旅……?

個人的には、Blancはナラティブ型だとは感じませんでした。言葉を使っていないだけで、はっきりとした分かりやすいストーリーが存在しています。そしてステージ毎に正解が一つしかないギミックを超えなければ先へ進めないため、旅路は全プレイヤー同じものになります。プレイ内容やプレイヤーの想像で解釈が変わる余地はほぼありません。雪に埋もれきった文明の痕が見えるのは意味深ですが、特に掘り下げられる情報はありませんし、何よりシカちゃんにとってもオオカミちゃんにとっても知ったこっちゃない情報なので興味がないのでしょう。家族に再会することの方が大事だもんね。

村の名残っぽいものが雪に埋もれている

Blancはプレイヤーがシカ/オオカミの体を通して相手プレイヤーと意思を疎通させる、絆を紡ぐという体験をさせるゲームではないです。もちろん二人でやればそれはそれで楽しいと思いますが、二人でないと得られないものは多分ほとんどないと思います。そういうのを期待しすぎると肩透かしになりそう。絵本を読むような気持ちで二匹の旅路を追いかけていくというプレイスタイルがこのゲームに合っていると思います。

そういうわけなので、個人的にはソロプレイで良かったです。もし私がこのゲームを誰かと協力プレイでやったら、会話の内容はギミック解法のことが中心になってしまいそうです。それと、二匹足並みを揃えていないとカメラが大変なことになります。画面がはちゃめちゃになって大笑いする感じの雰囲気ではないですし、「ちょっと待って!」みたいな声掛けをしないといけないのはややストレスになるタイプの作品じゃないかなと思います。でもレビュー見てると二人でプレイして良かったという感想もあるので、一緒にプレイする相手次第かもしれません。*2

まとめ

アーティスティックな絵本が好きな人や、わんこが雪の上駆け回る動画なら無限に見ていられるというタイプの人にはとてもおすすめのゲームではないかと思います。めっちゃ可愛いし大変に癒されます。

ただし、このボリュームと内容に対して1730円というのをどう考えるか次第かもしれません。コスパ悪いなという人の気持ちは分からなくもないです。とはいえ仕掛け絵本でも豪華な物なら2000円超えますし、商品価値としては妥当な価格かと思います。高かったと感じることで印象が下がるともったいないので、「これ絶対好き!」とならない人はセールを狙った方がいいかなと思います。

何だかやや欠点多めの感想文になっちゃったので改めて書いておきますが私は好きでした!

お気に入りの一枚

store-jp.nintendo.com
store.steampowered.com

*1:Unfinished Swan はモノクロアートに惹かれて買ったら最初の方だけだったので……。

*2:ゲーム初心者の友だちとやったら大変良かったというレビューがついてました。確かに操作簡単だし、一緒にプレイすれば補助できるし、すぐクリアできるから達成感も得られていいかも。スれたゲーマー同士でやるのはおすすめしない。