くらげーむ

やったゲームの話をします

【ゼノブレイド3】面白かったけど、ちょっと疲れた

www.nintendo.co.jp

ジャンル RPG
プレイ環境 Switch・TVモード
知ったきっかけ ニンテンドーダイレクト後のプレスリリース
購入の流れ ゼノブレイドDEを生涯の一本と思ってるので……
発売日に近所の店でパッケージ版購入

RPGの有名シリーズとして、しっかり面白く、しっかり最後までやれたゲームでした。
ゼノブレイドDEのことをもう一生これを超えるゲームないかもしれないと思っているくらい思い入れているため、ちょこちょこと比較してはもう一つ……と感じてしまうところはありましたが、単独で見たら良作だったと思います。
でも、ちょっと疲れちゃった。

ネタバレあり(エンディングにも言及)
※ついでにDEのネタバレもちょっとある
※ゲーム内容より自分の体験中心の感想

素直で頑張り屋でコミュニケーションができる若者たち

先に良かったことの話をしておくと、本作、メインキャラクターが全員とてもかわいい。すごく良い子たち。
舞台設定が10年しか生きられず転生を繰り返しながら永遠に殺し合いさせられ続けるとかいう大変な世界。これでメインキャラクターもリアルな鬱屈を抱えて内部衝突とかしてたら悲惨すぎて目も当てられないので、みんなめっちゃ良い子! という造形が最適だったんだろうと思います。良い子だけど無個性という感じはしませんし。

出会いこそ敵同士ですが、一緒に行動し始めるなりお互いを尊重し、よく会話し、すれ違いそうになっても翌日にすぐ非を認めあって謝り、気さくな軽口を叩きあいつつ、励ましあって大剣の大地を目指します。
……出来すぎている……。
あまりに出来すぎててちょっとそわそわするところはありますが、要らんこと言ってケンカに発展したり、要らんこと言われてても不自然にスルーしたりみたいなストレスフルなコミュニケーション描写がないのは快適です。長時間付き合うことになるキャラクターたちの好感度が高いのは良かった。
休憩所で和気あいあいしてる様子(バラエティーもすごい)を見るのは癒されました。かわいい。相談のやりとりもかわいいし、移動中に挟まるコメントの応酬もかわいい。

休憩かわいい

ただ、物足りなさがないと言えば嘘になります。キャラクター紹介を見た印象からのギャップがあまりないなとは感じました。みんな割と見たままだなと思います。ゼノブレイドDEだと、

  • 真っ当に熱血誠実好青年だけど開幕から伝説の剣を解析改造しにかかるオタク研究者気質があるシュルク
  • 周りからの評価とは裏腹に実は他人の心の機微に敏くかなり配慮ができる出来た少年ライン
  • 第一印象最悪の登場をしながら最年長かつ子沢山の親として価値観の地盤の固さを見せつけ株が上がり続けるリキ

等々、プレイするごとにキャラクターの印象が変わっていって面白かったのですが、3はそういう変化球はなかったなと感じました。ところで初代はキャラ人気あんまりないとか聞いたんですが本当に!?変化球なのがいけないの……?

こういうのが個人的に好みなので、3ではゼオンくんが好きです。
真面目で融通が利かなさそうな第一印象からイモの伝道師へ……戦いから解放されてやや天然な本来の性格が出てくる描写良かったです。コロニー9関係のクエスト各地飛び回らされるわアイテム集め多いわでちょっとくじけそうでしたけど。DEより体感ロード遅いし……。でもゼオンとカイツとコロニー9のその後が見たかったので頑張りました。

同行時コメント面白さNo1ヒーロー・ゼオン

ツイッターで感想を探すと、ノアとミオは人によって好き嫌い分かれる様子。割と完璧に近い優等生タイプなので分からなくもない。一方でほとんど全員から可愛がられているタイオン。慎重かつ神経質な性格で序盤嫌味っぽい態度を取ってくるのがいったん懐に入ると真面目で素直で気遣いのできる普通にいい子! それでいて案外挑発に乗りやすかったりもしてある意味一番わかりやすいギャップ萌え持ち。戦闘終了ボイスがミーム化してしょっちゅう同意を求められてるの笑ってしまう。そうだろ、タイオン。

さあ反撃するぞのタイミングで一人だけわたわたしてて可愛かった

【追記】
キャラクターにギャップがないというより、あんまり成長しないという表現の方が正確でした。最初から人格が成熟していてみんな善い人で最後までほぼそのまま行くので(※タイオン以外)変化を感じにくかった。ガサツと言われていたラインがパートナーを失くしたばかりの女性相手にパーフェクトな対応取れたのはカルナと出会って真剣に向き合った結果だし、余裕そうに見えて実体は枯れてたと言った方が正しかったダンバンさんがリキとの会話などを通じて挫折から再起していったのも成長ですね。ってまたDEの話してる……。
ミオとセナは回想シーンで過去に成長を済ませていたのが後出しで分かる感じだし、ランツもヨランの件で心境の変化があり成長は果たしていた(心に傷は残ったけど)。ユーニはディーの件どうなるかと思いきや「ビビってるからって戦えないわけじゃねーんだよ!」で一蹴。カッコいい~。これは成長とも取れるけど個人的にはフェイントに見えました。でもカッコいいからそれもアリだと思う。見た目若者だけど寿命10年のサイクル考えたら8期とかのみんながすでに割と大人なのはまあそうだねというところでもあります。ミューのメンバーなんかはこれから成長するんだろうなって感じでしたし。
ノアは大切な人を失いかけて大荒れに荒れますが、結局失わずに済んでしまうので「それをどう乗り越えて成長するか」っていうところは見えない。スッと落ち着いてしまう。ある意味「乗り越えられなかった」方のノアとも言えるエヌとの対比でその辺が描かれていれば面白かったような気はしますが、そういうストーリーラインじゃないので仕方ない。

これは未来に希望を抱ける若者のための物語

では何に疲れたかと言うと、何度も強烈に訴えてこられる「メッセージ」に疲れました。
停滞する今を望み子どもたちの命を弄ぶ(分かりやすい悪役の)メビウスたちに、何度も何度でも真剣に怒り否定し立ち向かう若者たち。最初は良かったのですが、3回目くらいでだいぶ「元気だなあ……」と辛くなってきてしまいました。いや、みんなの言うことは正しいですし、境遇を思えば当然の反応だと思います。先の通りPTメンバーはみんな好感度の高い良い子で個人的にも嫌いなキャラは居らず、鬱陶しいなどという感情は抱かなかったです。が、ちょっと回数が多すぎた……気がする。
でもインタビューを読むに、この辺りは強い思いを持って書かれていそうな感じです。

「いくらでも自分で道筋を作れるんだ」、
「夢や目標を諦めないで」ということを今の若い人たち
物語を通して伝えられればなあ、という思いもありました。

開発者に訊きました : ゼノブレイド3|任天堂
なるほどそれで何か、生きようとする力にあふれている若者たちがシンプルストレートな理想に全力を尽くすような問答が何度も繰り返されたわけですね、と思います。とても眩しく力強く……ただ、それを何度も浴びせられた私は何だか少し疲れてしまいました
定められきった殺し合いの道以外選ぶことすらできない世界を変えたい。
その主張はとても正しいと思う。そんな世界は惨すぎる。
でも現代日本で生きているプレイヤー(私)はさすがにそんな世界に生きているわけではなく、「全部壊したとしても未来に進む道を往くんだ!」というのは……現実的ではない。ゲームの中で世界を潰して作り直しても誰も死にはしませんが、現実には「全部壊してでも!」なんて選択できないことの方がほとんどです。だから苦しんでいるし葛藤している。
現実的ではないことがそのままイコール欠点というものでもないことは理解しています。フィクションだから出せるシンプルで強いメッセージが持つ「人を励ます効果」についても分かっているつもりです。
それでも今回私個人は励まされるより疲れました

「鳥にミミズの気持ちは分からない」という訴えに対する「君はちゃんと鳥になれた」というアンサーもよくわからなかったし、命を代償に他者を救済する自己犠牲を肯定寄りに描写している気がして落ち着かなかった。「お前には絵を描くという得意があったはずだろ」に対する「今それ言う?」も(言った本人は救われたような雰囲気で退場していきましたが)本当にそうだよという感想を抱いてしまった。
力強い主人公たちに励まされるよりも、私は彼らに斬られて粒子となって散っていく側だな……という諦めが頭を通り過ぎてぼーっと画面を見つめることしかできない。

※このあたり、もう自分の心がシャットダウンしていたのでちゃんと台詞が頭に入っていない自覚は有ります。この二つは序盤やヒーロークエストのテンプレ執政官問答よりずっと良いものだった、にもかかわらず心が疲弊してて感動しきれなかった悲しみ。

自分はこっち側だな……

同じようなメッセージがあってもそうはならない作品もあるのですが……それこそゼノブレイドDEがそうでしたし。どうしてこうなってしまったかと考えると多分こういうことです。

  • 似たようなメビウスを何度も倒す過程で聞かされすぎて食傷した
  • これで素直に未来への希望を抱けるほどの元気がない
  • フィクションによる励ましの効きが悪くなるほど社会不安が強い

三分の二がゲーム関係ないので、要するに私に合わなかったのでしょう。
そもそも、「今の若い人たちへ」って言われてますからね。私は対象外だったのです。

※実際何歳くらいのプレイヤー層を想定していたのかは分かりませんが……ただちょっと思うんですが初代(2010年発売)からのシリーズファンとなるとそこそこ年齢層上がってきそうな気がします……30代まで「今の若い人」の範疇に入ってるんでしょうか? 自分も射程内に入ってたら入ってたで、「このメッセージが響かない自分」を突き付けられてしんどさ増しますね……。

【追記】
中村悠一さんの感想配信アーカイブを見たら自分と似たような感触の話をされていました。「子作りしろよっていうあのメッセージがちょっと俺の中では強すぎてそればっか記憶に残っちゃってるんだけど」*1のところでああ自分だけじゃなかったのかと少し安堵。全員隅々まで話を聞けた自信はないのですが、シティの人々のライフスタイルは割と画一的な印象を受けました。基本的には閉じこもらざるを得ない環境ですしそんな余裕はないということかもしれませんが、生き方を縛られた各コロニーの子どもたちとの対比に置かれる社会にしては「正しい生き方」が固まり気味の印象。そのためランツのサイドストーリーに出てきた大道芸人だけちょっと目立っていました。

※シャナイアがよしんば戦わずに済み画家の道を歩む人生の選択が可能だったとして、【結婚して子をなさず】絵の道だけを突き詰めたいともし思ったとしたらあの都市はそれをやんわりと許さないのではないかという予感がする。特に六氏族は跡継ぎ問題で結構やんやしているし。ロザーナとグレイは子を持たないまま今後も行きそうな雰囲気でしたが……ロザーナなら笑顔で跳ねつけられてもシャナイアには厳しかろう。親子関係の不和描写についてもこの子が背負わされていたわけですが、この辺のエグいリアリティは見せるだけ見せて解決はせず(だって彼女は命を絶たれたのです……)、それでも子へと受け継がれていく未来って希望があるよねという論調で物語全体は締まる。とても辛い。

未来をつむぐとはすなわち子どもを産み育てることなのですよという(風に受け取れてしまう)メッセージを今の社会で子育て世代に当たりながら子を持っていない人間が浴びると劇薬……。ゲーム世界=現実社会じゃないんですよと自分に言い聞かせてもなかなか、メッセージを伝えたいの意志がこうも強めに出てると割り切れません。辛かった。ついでにエンディングの例の写真も、2未プレイなので言われているほどの悪感情はないのですが、愛の勝者であることを子どもの獲得で表現してしまうか……という気持ちには正直なりました。台詞無し一枚絵で正確に伝える手段としては分かります、分かりますが……だいぶキラキラした出産の扱い方でモヤっとくるなと……この辺にしておきます。

※2のキャラクターの設定や関係性を伝聞レベルでしか知らないため、この感想は的外れである可能性があります。そうだといいな。

今はまだ若く再生産の問題に直面するのが先の話である人にとっては、かつてプレイしたこのゲームの物語が「楽しかった」という思い出と共に甦り力になってくれる未来もあるのかもしれません。でもそうではない者としては……どうしてこんなところに来てまでいつも嫌と言うほどやってる内省を迫られなければならないのだろうと悲しくなりました。
この気持ち、DLCでひっくり返る可能性ってあるのかな。

ムービーで語るストーリー

ところで私はゲームから物語を吸収する鑑賞能力が低い自覚があります。
RPGは好きですが、ストーリーの理解に自信がありません。細部が覚えられない。なぜならば話を聞きながら別の考え事をしてしまう癖があるので……RPGは寄り道が魅力的なのもあって色んなことに気が散ってしまいます。小説などは何度も読み直して解釈していくのですが、見直しが大変な映像作品とゲームではストーリーの呑み込みがふわふわになりがち。重要なことを余裕で聞き飛ばしていたり忘れたりがザラにあります。

ですが、ゲームには「ゲームシステム」という強力な体験装置があります。
人が喋っていた内容は忘れても、自分の手で操作して得た体験の記憶はしっかり刻まれていく。RPGで語られる物語を受け入れるのに、私はこの「ゲーム体験」が補助となってくれることを大いに期待している面があります。
ゼノブレイドDEではそれが完璧でした。
切り札モナドの攻撃が本当に通らないフェイス戦に焦り、落ちた腕の周囲に広がる毒の海で大地たる神から離れがたいことを身をもって知り、いきなり半分吹き飛んだアカモートのキズナグラムで事の悲惨さを痛感する。
そして何より「ビジョン」システムが強烈でした。望まぬ未来を自分の行動で砕き乗り越えていくこと。戦闘の中で常時行うこの行動が「人の手で未来を、神なき世界を作ってください」の声に応えてシュルクたちが立ち上がるシーンに繋がり、テーマとメッセージが体感で理解できました。未来掴んでやろうじゃないかという気持ちが自然とついてきた。

本作ではストーリーや設定に関連するゲームシステムもあるにはあるのですが、あんまり印象に残らなかったなと感じています。命の火時計に縛られるシステムは序盤ですぐ消滅してしまって苦しんだ記憶が一切ありませんし(※難易度はノーマルでやってました)、各コロニーを解放するごとに上がる警戒レベルもいまいち、TIPSさんが何か言ってる……くらいの印象。実際に影響してきた覚えがない。インタリンクについては、ムービー中はオーバーヒートまでの時間制限だいぶ長そうで羨ましいなあ……などと思ってしまいました。

ゼノブレイドDEだとどんなに高い所から飛んでも着地点が水なら無傷というシステムを序盤に誘導つきで覚えさせておいて、ただのフィールド自由探索に便利なシステムかと思いきやストーリー上の「超高所から海への落下で無傷」をツッコミ不要にするという豪快なことまでやってきたのは一生語り継ぐと思います。この項とあんまり関係ない話だけど言いたかったから書いた。
本作でも同じ仕組みを継いでるので水への落下は無傷なのですが、ただのシステムでした。あと飛び込めるところ少なくて寂しかったです。滝下ショートカットできるかと思いきや水深浅すぎて普通に打ち付けられて死んだのちょっと恨んでます。

話を戻して、本作ではメインテーマのほとんどが、ムービーで直接表現されていたのかなと感じました。それもまた「疲れてしまった」原因だったように思います。自分がゲーム世界に入り込めないまま、(自分とは違って)生命力みなぎる若者たちが(自分の操作とは関係なしに)理不尽な世界を絆と力で覆していく様を遠くから見ていました。声の演技はみんな非常に良くて聞き入りましたし、表情も豊かでしたし、一つ一つのムービーはどれも良い出来だと思います。けれど、どうにも自分がその中に居る感覚を持てなかった。自分の気持ちが、画面の中のみんなとシンクロしない。画面の中のみんなはストーリーが進むほど強く逞しく確固たる意志を持って未来に突き進んでいく。私を置き去りにして。

あとこれはあちこちで言われているのを見ますがムービーに入る頻度が高いのは私も少し気になりました。新しいフィールドに入ったらいったん思い切り走り回りたいのですが、すぐそこすぐそこに何度も目的地表示が出てきます。寄り道しても良いと言えば良いんですが、サイドクエストやサイドストーリーを始めてしまうと長いし。先に進みたい気分になっている時ほど、100~300m刻みに出てくるムービーシーンに一時停止を掛けられる。
DEの時はこんなにしょっちゅうムービーポイントがあった記憶がないのですよね。フィールドを走り回って、「どういうことなんだろう? 次は何が起こるんだろう?」と思い始めた頃合いに目標地点が出てくるので食らいつくようにムービーを見る、みたいな経験をした印象が強い。思い出補正入ってるかもしれませんが……。

翻って5話6話間の例の投獄シーンは操作を制限されつつ、無意味と知っていても牢を破ろうとしたりなど、がっつりRP絡めてストーリーを語ってきていたなと思います。ただしこれは作中一か所くらいしか使えない決まり手ですし、他作品でもよくある演出です。でもやるならここだろうなっていうシーンで確実に決めてきたので、お約束がしっかりしている……と思いました。良い意味で。

世界の在るべき姿とは

と、ここまで入り込めないなあとは思いつつも、ストーリーをそれなりには楽しんでいました。が、よりにもよってエンディングムービーで躓きました。えっ、世界、元通りに分かれるの……? と。

二つに分かれた世界が一つに戻ろうと接近してしまった。二つの世界が接すると光だけを残して消滅してしまう。そのため、光から元の世界を再生できるようにオリジンを用意した。しかし世界が接触したタイミングでメビウスが生まれ時を止められてしまった。

じゃあメビウスを倒して時を再び動かせば、予定通り世界が接触して一旦消滅して、そこから再生されるのかなと。DEのエンディングのイメージを引きずってしまったせいもありますが、二つの世界が混ざった上で一つの新しい世界がオリジンの情報を元に再構築されるものと勘違いしていました。もう一回二つの世界を作り直す仕様だったのか、オリジン。でもそうだとしたら、そのうちまた一つの世界になろうと再接近しちゃったりするのではないのでしょうか。大丈夫なのかな。そのへんもう少し詳しく説明しておいてほしかったなあ女王さま。これ、勘違いしたの私だけなのでしょうか。ちらほら説明不足という感想やレビューを見るので、もしかしたら同じような勘違いされた方も居るのでしょうか。

しかし、不自然に歪められて静止した世界が間違っているというのは分かるとしても、本来あるべき世界の姿は「二つの異質な世界が手を取り合って前に進みつつあったアイオニオン」ではなく元通りの分かれた世界なのだ、という(風に思えてしまう)結論はちょっとモヤっと来ます。いつか必ず会いに行くということなので今後世界の統合を正しい手順でやり直す方向でいくのでしょうか。だったらやっぱり今解放されたアイオニオンでそのまま未来築いても良かったんじゃ……悶々。寿命の刻印もさらっと消滅していましたし。

※ノアたちにそういう選択をさせてほしい、ということではなく設定上の必然性の話。

ともあれお別れの言葉を交わし始めたところで勘違いには気づいたわけですが、それでも物理的にめりめりと地面がひっぱがされて分かれていくとは予想だにせず、( ゚д゚)という顔になってしまいました。いや、みんなが涙の別れをしている中こんな顔になってる私は場違いすぎる。本当は感慨に浸りたいのに……余計なところに引っかかって集中できないのだいぶ損してるなと自分でも思います。ブレイド(ラッキーセブン?)を海にぶん投げた時にもびっくりし、いきなりエセルが復活してコロニー4部隊の先頭に立ってたことにもびっくりし、なんかもうとにかくエンディング中ずっとびっくりしていました。

※天空の砦が気になりすぎてコロニーオメガをとっとと出発したせいでカムナビを拾い損ね、そのままエセル再加入を逃していたのでした。再加入あるのは気づいてましたが、全然気配ないのでクリア後特典なのかな~と勝手に思っていたらエンディングで堂々復活していてひっくり返りました。差分、ないんだね……。ボレアリスがレウニスを昭和家電扱いしたりしてたシーンも奮起して皆を率いてるのかと思ってたけど、もしかしてエセル戻ってきてたからイキイキしてたってことなのか。

絆をつむいできた仲間たちの別離で終わる幕切れの仕方については割と好きな方です。ビターエンドというよりは青春の終わりエンドっぽいような雰囲気。なんとなくペルソナ3・4・5のエンディングの空気を思い出しました。ついでに言うと「命をどう使うか」とかの問答の辺りでぼんやり「命の答え」というフレーズが頭にチラチラしていました。

でもなあ、やっぱりなあ、何でまた二つに分かれないといけないんだろうなあ。しっくりこない。離れ離れになってほしくないとかではなく、その理由に納得できていないためにちょっと読後感が悪いです。「シンを倒したらユウナは死んじゃうんだよ」よろしく、旅の最中(せめて終盤)から自分たちは離れ離れになるんだと意識して、それでも世界を変えに行くんだ……ということを言ってくれてたらエンディングで泣けたかもしれないなと思いました。

システムで躓いたところ

システム面で躓いたところを備忘がてら書いておきます。

キャラクターのセットアップがしんどい

6人+1人の大人数同時戦闘、すごいのですが、その分常に6人分のセットアップを行う必要がありました。その上クラスもめちゃくちゃある。そしてちょこちょこクラスレベルがカンストしてロール変更が必要になる。
6人のロールバランスを見つつ、アーツ・スキル・アクセサリ・ジェムのセット×6――多い。
幸いある程度自動でセットしてくれるので四六時中セットいじるはめにはなりません。
アクセサリの検索性がかなり低いのもあって、自力でのセットアップを割と早期に投げ出しました。
ただ、おまかせ機能使うと全部がセットし直されてしまうんですよね。アクセサリだけ自動セットしてくれたらよかったんですが。スキルとアーツは自分で選びたい……でもアクセサリは選びたくないので結局自動を使う。
そしてこれがチェインアタックに必要なアーツのセット漏れにつながる。

チェインアタックの仕様を理解し損ねた(忘れてた)

超強力合体必殺技チェインアタック。敵の行動封じっぱなしでずっと俺のターンできるちょっとずるいシステム。単なる自己責任なんですが、仕様が多くて覚えきれず、ずっと適当にやってしまっていました。
ロール特性、ヒーロー絡みの特殊効果、ウロボロスオーダー、攻撃倍率の上げ方……諸々。
そしてチェインアタック中ならコンボが楽につながるということを完全に忘れ去りました
クリアしてから人の感想見て初めて思い出しました。DEの時はちゃんとやってたじゃん……!
なんでコンボのこと忘れたかと言うと先述の通りアーツのセットが面倒になったからです。

どうして蘇生ヒーラー限定にしたんですか!?

本当にどうして……ヒラが落ちるともうダメだーになって全員倒れるまでコントローラーを投げ出すはめに。いくらなんでもこの待ち時間無駄じゃない? と思って検索したら公式ツイッターでギブアップ機能(マイナスボタン長押し)が紹介されていました。それゲーム中で案内あったっけ!? ……と思ったらTIPSにありましたが、いや気づかないよ……TIPSも量が多い割にカテゴリがざっくりで見たい項目がなかなか見つからないし。でも書いてあったからには自己責任か……凹む。
DEと同じくチェインゲージ消費で蘇生ではダメだったのでしょうか。ロールを強調したいが故だったのでしょうか。まあ、アタッカーすごい遠くに走っていっちゃって回復からずっと漏れてるし、ヘイトもめちゃくちゃ跳ねて(これ以上引きつけられねえ!)PTメンバー死にまくるので、ゲージ消費してたら永遠にチェインアタックできなかったかもしれませんが。

あとは

  • エリアマップのショートカットメニューからでも上の階層に戻れるようにしてほしい
  • アイテム提出系のサブクエストはクエスト詳細でアイテム一覧見れるようにしてほしい
  • アイテムがどこで/どのモンスターで取得できるのかさっぱり分からなかった
  • ロケーション名称もマップに載せてほしい
  • フィールドスキルないと行けない地形は最初から地図に載せておいてほしい
  • 走るのもうちょっと早くなりませんか

と細かい不便があったくらいで、おおむね楽しく遊べたと思います。
DEの時はそういう些細なのも含めて不満らしい不満を抱いた覚えがなかったんですけどね……。

その他細かい感想

NPCトーク
未読台詞のあるNPC吹き出しに★がついてるシステムは大変ありがたかったです。キズナグラム更新するの好きなので。そこらで発生している立ち話のヒントトークや情報が取れるヒントトークもシナリオ進行に合わせてガンガン更新されていくのが細かくて助かるなあと思いました。サブクエスト等で既知のコロニーに戻る機会がかなりあるので自然と耳に入るのも良かったです。
モルクナ大森林下層からコロニータウにつながるエレベーターを起動した後、誰だったかが「あれ起動できたんだ~すごい」的なコメントをしてくれたのは驚きました。確かサブクエストでも何でもないところだったのにちゃんとリアクションがあるとは。動いていないエレベーターの情報をくれたのと同じNPCだったと思いますが、こういうのってだいたい言いっぱなしでアクセスした後にちゃんと台詞が変わるって意外と経験がないので、嬉しい。

キズナグラム】
アナイアレイター出てきた時てっきりコロニー4が吹っ飛んでキズナグラムが根こそぎいかれるものと思いました。そんなことはなかった。よかった。
システム使った演出に物足りなさがあるのは前項で書きましたが、キズナグラム芸は健在だったなと思います。今回拠点移動するキャラクターが多くて、あちこち留学しに散ったタウのメンバーから色々枝が伸びたりとか、シティに入った15海賊団勢がのびのびしてる様子が見れたりだとか、そのあたり楽しくて良かったなと思います。

【チェインアタックのカットシーン】
それぞれのオーダーモーション、入りはカッコイイのに終わる時スン……て感じになってしまうのはどうしてなのですか。
「加減はできない!」(決めポーズ)⇒斬撃・斬撃・斬撃⇒~謎の間~⇒リターン!
なんだかちょっともったいない。でも全クラス分の差分あるのはすごいな~と思いました。
ウロボロスオーダーのモーションはいかにも連携攻撃という感じで熱くてよかったと思います。そういう王道は好きです。最後に変身する直前の瞳がピカっと光るカットが好きなのですが、ノアミオとユーニタイオンがキリっとした顔をしているのに対してランツセナだけちょっと笑顔なのが大変かわいい。
(`・ω・´)(・v・´)
こんな感じ。

【ユニークモンスター】
任意で再戦可能でしかもスキップトラベル出来ちゃうのは完全に改良点だなと思いました。スキップのために墓標立てたいから倒しとこ、とかやりました。でも霧の時にしか居ない、とか、夜にしか居ない、とかは生態を感じて好きなのでそれがなくなったのはちょっとデメリットかもしれません。出現条件って利便性は下げてしまうけどフレーバーとしては魅力的なので……。

【成人の儀】
成人しておくられたら二度と転生しない。輪廻からの解脱ということでしょうか。消滅して二度と転生しないんだよアーッハッハッハとショッキングな情報として出されたんですが、「あ、解脱か」とすぐ思ってしまったので「なんだってー!?」みたいな空気になってる現場のテンションとすれ違ってしまいました。どっちかというといいことだよね、解脱。殺し合いさせられるこの世に戻ってこなくてよくなるわけで。ミオが消されてしまう! という焦りに共感する気持ちもある一方、でもたとえ転生して一期から戻ってきても記憶はだいたい消えてるし、同じミオだと言えるの? みたいな疑問もあるし、せめても転生できれば……という解決策はそれでいいのか? という雑念がムービー見ながらぐるぐる回る。こういう余計な思考が挟まるからムービー見落としが大量発生するんですよね……集中力の欠如。
ところで1000年前の成人の儀成立ムービーでは十期終わった子が処刑前みたいな悲壮な雰囲気かもしていたのですが、おくってなかった当時は寿命来たら倒れるとかでなく処分していたんでしょうか? 怖いね……。

【メリアちゃん】

メリアちゃんはしっかりメリアちゃんでした。
変わってなくて嬉しいです。スターライト・ニー!アイタタも健在だった。

まとめ

これを言ってはおしまいですが「ゼノブレDEと同じレベルの感激はもらえなかったなあ……」という惜しさがクリア後の第一印象でした。ゲーム自体は十分お値段相当の楽しさだったと思います。ただ「ゼノブレDEの感動をもう一度」がほしかった……! 生涯で五本指に入りそうな一本と比べるのはハードルと期待が上がりすぎて損なのはわかっているものの、正統続編にそれを期待しないでいつ期待できるの? と思ってしまったのが事実で。

他の方のレビューや感想を読んでいるとストーリーに色々矛盾もあるようですが、前述の通り細部をぽろぽろ忘れていく性質がここでは幸いして、それぞれのムービーを見ている間は気にしていませんでした。でも「気にしていなかった」だけであって、圧倒はされなかったかな……。マシーナとの邂逅やテレシアの話を初めて聞かされた時などに感じたエーッという驚き、それに相当するだけのものが、今作では得られませんでした。ゲーム世界が紐解かれていく感覚が薄い。各キャラクターの話はみんなよく掘り下げられていて愛着もわき、個性も色々で楽しめましたが、それに比較して「世界の在り方」や「真実とどう向き合うか」といった本筋の描写が自分にはDEほど響かなかった。

高橋氏:
 そうですね。実は僕自身、そんなにキャラクターに萌えてはいなくて。どちらかというと、世界のほうに重きを置いているというか。そこは『ゼノギアス』の頃から変わっていないですね。

「ゼノブレイド」高橋哲哉 ×「ペルソナ」橋野桂:対談──作家性とは何か? 世界で評価されるJRPGの旗手が掲げる美学をめぐって
これは2018年のインタビュー。世界の方に重きを置いている。そうですよね。だからこそゼノブレイドDEはものすごく私に刺さりましたし、今回もそれを期待していました。でも実際プレイしてみたら、キャラクター(人間)の方に重きがあるのでは? と感じた。安易な萌え描写では全くないので、それはそれで質の高いものでしたが、期待していたものとは違った……。

ただ、「自分たちで掴み取った道の先を歩き始める物語」が火時計から解放されたコロニーの話で堪能できたのはとても良かったです。9も4も30も15も、シグマもラムダもミューも。どのお話も良かったです。ゼノブレDEではそこでエンドマークになってしまうので見られない部分でした。(つながる未来でちょっとありましたがあれは追加の後日談なので)

結論。
とにかくキャラクターみんなかわいい!
これが一番の魅力だったかなと思います、ゼノブレイド3。



#余談
ラスボス戦でバグが出た。ちょっと笑った。

主張が強いバフフィールド